Diary of November    Makko's Diaryの目次へ   ホームへ戻る    翌月へ

11月24日(土) かりあげ

すぐ下の妹が琥姫を獣医さんに連れていき、体中の毛を刈ってもらってきた。半年前に太り過ぎと診断されて以来続けてきたダイエットの成果を確認する
ためである。「使用後」の姿を楽しみに待っていた家族の全員が思わず爆笑。琥姫の姿を見るといつもは興奮して吠え始めるリュウも、今日はぽかんと口を
あけたままて何やら考え込んでいるようである。

写真を公開できないのが残念だが、琥姫は身内びいきを差し引いても非常に美しい猫だ(った)。真っ白な長い毛にかすかにグレーベージュの縞が入っており、
両耳だけはシャム猫のように濃いグレー。毛足の長さはペルシャ猫を思わせるがペルシャ特有のぶたっ鼻ではなく、すっきりと整った鼻と口に薄いアイスブルーの
大きな目。完璧なバランスの「小顔美人」なのだ。一見高慢に見えるほど豪華な美しさなのに、意外にひとなつっこいのがまた可愛い。
獣医さんから帰ってきた琥姫はまったく別人であった。バリカンで刈った毛はこれ以上は無理な程短く、肉のピンク色がすけて見える。ふわふわで立派だった
尻尾も、毛がなくなると巨大ねずみのそれみたいでなんとも貧乏臭い。頭と顔の毛だけがふさふさなので、すっかり「でか顔」になってしまった。
本人もプライドが傷ついたのか、しょぼんとうなだれている様子が、ますます笑いを、いや哀れを誘う風情である。

お出かけ籠から開放された琥姫は妹の部屋でホットカーペットと毛布の間に入ったっきり、いくら呼んでも出てこない。恥ずかしいのか寒いのか。それでも夕食が
終わった頃にはやっと2階から降りてきて、食卓の下をうろうろと歩き回るようになった。いつもより甘えんぼになっているのか、私の膝に飛び乗って丸くなる。それにしても姿かたちが変わっただけで。。。昨日までは周りを見まわしながらゆったりと歩く琥姫の姿に「これぞ猫の優雅さ」!と見とれていたのだが、今では
「すんません、すんません」とへこへこ謝りまわっているように見えてしまうのである。。。やっぱり見かけも大事だ。

肝心のダイエットの成果だが、毛のなくなった琥姫は予想以上にスリムだった。それでも獣医には「あと0.5キロ体重を落として下さい」と言われたらしい。
妹によると、獣医さんが飼っている猫はえらいデブ猫だそうだが。医者の不養生とはまさにこの事なり。

11月18日(日) アンパンマン&獅子座流星群

近所にある三越の屋上でアンパンマンショーがあるというので、娘を連れて行った。
昨日から「明日はアンパンマンに会いに行こうね―」と行っていたのだが、「ばいきんまん、くる?」と、なぜか悪役の味方のよう。それでも「もえちゃん、あんぱん
まんにあいたーい!」と、パパの事を話す時と同じセリフ。アンパンマンがよっぽど好きなのか、パパへの想いがその程度なのか?

夕食の買い物がある母と3人で三越の屋上に行ってみると、特設舞台の前には子供連れのファミリーがわんさか集まっていた。地面に敷かれたビニールシートの
上に靴を脱いで座りこむ。アメリカやヨーロッパではこういう場合椅子がなければ立ち見になるのだろう。日本の床座文化とは実に手軽で機能的である。
まもなく寒空の下ミニスカートで頑張っているお姉さんのMCと共にアンパンマンショーが始まった。おなじみのアンパンマン、バイキンマン、ドキンちゃんの他に
ハンバーガーキッド、ヤキソバパンマンとその妹のヤキソバカスちゃん等、着ぐるみ(と書いては子供達の夢がぶちこわしだが)が次々と登場。娘も「あ、ばいきん
まん!あ、あんぱんまん!あれはだれかなー?」と思わず立ちあがる。メインのキャラクター以外は知らない私と母も、ヤキソバパンマンが両手に「ヘラ」を持って
「へらへらチョーップ!」等と叫ぶ場面では思わず吹き出してしまい、子供達とは別の意味で楽しめた。
ショートストーリー仕立てになっていたアンパンマンショーが終わると、最後には行列になってヤキソバカスちゃん、ドキンちゃんとアンパンマンとの握手会。全員と
握手した娘は、「アンパンマン、あたまなでなでしてくれたの!」と興奮気味。しかし一番気にかかるのはやはりショーの中でコテンパにやられて退場したきり
だったバイキンマンらしく、事を家に帰ってからも「ばいきんまん、いたいいたいって!」といつまでも繰り返していた。

ショーの最中は爆笑する一方でずっとハラハラしていた。キャラクター達が激しいアクション(笑)や深いお辞儀をするたびに「今、頭部のかぶりものがポロッと
とれてしまったらどうしよう。中からおじちゃんの顔が出てきたら子供達の夢はこなごなだろうなあ。」と考えていたからである。もちろん、そんな事が断じて
起こらないよう、細心の注意が払われた仕掛けのはずではあるのだが。。。なんと夢のない大人になった事か。

今宵は獅子座流星群が見られるというので、夜中の2時半に母とすぐ下の妹と3人で屋上へ。以前「ペルセウス座流星郡」の時には天候に恵まれなかった
のだが、空を見上げると今回も結構雲が多い。たいして期待をしていなかったのだが、実にくっきりとした明るい光が次々と流れていくので3人とも大はしゃぎ。
どこで流れるかわからない空全体をじっと睨みながらひたすら待つのだが、視界の端に光が映った!と思ったときにはもう消えていたりしてはがゆい。
妹と母の2人が「今のはすごく大きかったねー」等と言っていると、自分だけが見逃したのがなんともくやしかったり。「もう1つだけ、もう1度だけ」等と3人で言い
ながら天空に見惚れる。
ふと、妹が「でもさー、流れ星が消える前に願い事を3回言うなんて、とても無理だよねー。だからかなわないんだよ。」と言い出した。
「言えてる、言えてる。どんなに心の準備をしててもあれじゃ言えないって。」、「だってさ、恋愛のお願い事だとしても、名前を3回も唱える時間ないしねー。」、
「誰でもいい訳じゃないし、仮に人の名前を言えても願い事の内容もわからないし。かといって「こい、こい、こい!」じゃあねえ。。。」、
「やっぱりわかりやすく「かね、かね、かね!」でしょ。」、「そうだねー、お金ならどこの国のものでも換金すればいいもんねー!」
。。。やはり最後はなんとも夢のない大人達なのであった。。。

11月7日(水) 女友達

昼過ぎに高校時代のテニス部の友達と新宿で会う。久しぶりにタイトスカートをはき、ストッキングとパンプスで待ち合わせの場所へ向かった。
お茶とケーキ、夕食も一緒に食べておしゃべりを十分楽しんでから別れた。
娘を産んでからはすっかり「すっぴんにTシャツ、ジーンズにスニーカー」の毎日になってしまったが、お洒落な女友達に会うとなると(特に今日の友達はセンスが
いいので、会う時はいつも「今日はどんな格好かなあ。」とひそかに楽しみにしている)、「多少はまともな格好をしていこう」という気になる。
素敵な女友達に恵まれるというのは自分のためにも大事である(笑)。

私が会うたびに「みんな、綺麗にお洒落になったなあ。」と感じさせられるのは、特に高校時代の女友達のような気がする。そしてその理由は多分、
「すっぴん時代」に出会っているからではないかと思う。
私が母に言われて初めてお化粧をしたのは、高校の卒業式だった。通った高校は制服がなかったので、卒業式と大学の入学式用にと、
初めてタイトスカートのスーツを買ってもらったのだ。タイトスカートもストッキングもパンプスも初めて。気恥ずかしい思いをしながら学校に行くと、周りも似たような
格好をしていたので、安心したと同時に友達の大人っぽい姿をまぶしく感じた記憶がある。
タイトスカート、ストッキング、パンプスという「三種の神器」にお化粧が加わると、女性というものは突然大人びて見えると思う。大学や会社の友達がどんどん
綺麗になっていっても高校の友達ほどは驚かないのは、彼らが知り合った時からそれらの神器を身にまとっていたからに違いない。

だとしたら、早くからマセた格好をする今時の若い女の子達は一体いつの頃の友達に対して私のような気持ちを感じるのだろう。中学校?小学校?
。。。まさか幼稚園?

11月1日(月) にわかアシスタント

妹の原稿の締切り日である。夕方の18:00にバイトさんが原稿を取りに来るというのだが、間に合いそうにないのでトーン貼りを手伝う事になった。一番下の
妹はたまに手伝わされているらしいが、私は今回が初めてである。
久しぶりに妹の部屋に入ってみると、予想通りの足の踏み場もない。60種類以上はありそうなトーンは部屋中に散乱し、本や雑誌、琥姫が悪さをした
ティッシュペーパーの残骸が入り乱れ、HP上で公開したい程完璧な「締切り前の漫画家の修羅場」である(そうじゃない漫画家さんもたくさんいるんだろうけど)。

妹は「わー、助かるー。よろしくお願いしますぅ〜」と調子のいい歓迎ぶり。「ちょ、ちょっと、初めてのド素人にこんな説明でいいのか?」と言いたくなるような
簡単な指示をするとあわただしく自分の原稿に戻った。とりあえず言われた通りに1コマ仕上げてみてから妹のチェックを受け、本格的に作業に入る。

トーン(スクリーントーン)とは漫画原稿に使う、様々な模様の入った透明なフィルムシート(糊つき)である。模様・絵柄は実に多種多様であり、パソコンでも
よく使うあみかけ模様からあらゆる種類の花柄、点描の幾何学的模様に雲や木々のシルエット等、多用すればずいぶん「ラクが出来そうな便利グッズ」(失礼
グッズのようだ。そして、トーン貼りとは、使いたいコマの上にトーンを敷き、彫刻刀のようなカッターでシートの上から透けて見える原稿の線に沿って
使いたい部分を切り出し、ヘラでこすりつけて原稿に貼りつける作業である。単純だが場合によっては髪の毛一本一本に沿って切り出す等、結構細かい作業である。

ふと気がつくと原稿に額をすりつけんばかりに前のめりになって集中してしまっている。細かい部分は少しずつ切りだしたりするのだが、ひと筆で上手く切り出せ
たりすると思わずにんまりしてしまったり。ふむ。これは結構くせになりそうな作業だ。
いかん、いかん、これでは妹の思うツボである。母と一番下の妹を巻き込んでいる彼女の仕事は既に立派な家内製手工業。居候している間はともかく、
あんまりアシスタント業に慣れてしまうと帰国後も実家に呼びつけられてしまうぢゃないか。
と思いつつも気がつくと「トーンってどういう種類別に整理すると使いやすいの?」等と嬉々として並べ替えてしまっている私。

夕方の4時頃に私は一足先に開放され、6時すぎにきたバイトさんも無事原稿を手にして帰っていった。長かった妹の地獄もようやく終わったようである。
妹はこの数日間、完徹に近い状態が続いていたらしく、描いている最中に「いかん、お腹がすき過ぎてめまいがする。。。」、「あー、ついに手がふるえて
きたぁー。。。」、「あんまり寝ないで描き続けていると心臓が痛くなるんだよねー」等と言いながらひたすら手を動かしていた。実に不健康な職業である。

これで娘も晴れて妹の部屋への出入り解禁である。やれやれ。

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